沖縄県西表島 2018年5月
3年前の西表島は全日程雨でしたが、今回は一度も雨が降らない干ばつのような状態でした。そんな気候なので、両生・爬虫類はもちろんのこと、昆虫の活動は下火で、昼夜森の中で生き物を探しても成果はあまり上がりませんでした。地元で農業をしている方にたまたま話を聞いたところ、作物につく害虫すら少ないらしく気味が悪いとのことでした。
写真はイリオモテモリバッタの雄。西表島では普通種ですが、昆虫の少ない絶望的な状況下で本種に好シチュエーションで出会えたのは、まるで砂漠でオアシスを見つけたような気分でした。それも八重山諸島に分布するウラボシ(シダの仲間)に乗っているのですからこれを逃すわけには行きません。とても神経質なバッタなので撮影は望遠レンズを使用。高曇りで太陽光のバランスも程良く、滞在中一番満足のいく写真を撮れた気がします。このバッタは亜種が沖縄諸島、奄美群島、石垣島、宮古島、与那国島に生息していて、それぞれ色や羽の長さが異なります。その中でも西表島産の本亜種はどの地域と比べても一際美しい色彩を持っています。黄色い鮮やかな体色はもちろんですが、本亜種のもう一つの魅力は足のスネに当たる部分がコバルトブルーをしている点で、この色が南国の昆虫らしさを引き立てます。このスネのカラーパターンには個体変異があり、スネが赤いタイプもいるそうです。まだ出会えていませんが、いつかは撮影してみたいものです。
OLYMOPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED40-150mm F2.8 PRO+MC-14 Teleconverter/FL-600R