クメジマオオサワガニ
2013年 06月 02日
赤紫型の個体 本種の基本色彩パターン [ 沖縄県久米島町 2013年5月]
4日間久米島に滞在していました。今回の撮影目標はホタルでもなくヘビでもない、このクメジマオオサワガニ (Geothelphusa kumejima )でした。かつて本種は沖縄本島北部に生息するオキナワオオサワガニ(Geothelphusa grandiovata )の亜種とされていたようですが、現在は独立種とされています。南西諸島に生息するサワガニは殆ど記載はされていますが、標本の写真はあっても肝心な生態写真は全くといっていいほどありません。なので自然下でどのような暮らしをしているのかがわからなかったのです。今回は他の島に生息するオオサワガニとの違いを確かめるべく、ほぼ4日間を本種の撮影に注ぎ込みました。その結果、体の特徴や生態から本種が他の島のオオサワガニと別種であることがよく判り、納得できました。
僕自身博士号を持っているような研究者ではないのであくまでも仮定ですが、その特徴を挙げると、本種は眼柄(眼)を収納する孔が黄色く縁取られ、基本体色パターンは斑紋を帯びた赤紫色をしています。これはオオサワガニの中では美しい部類です。また成熟した雄個体の肥大した鋏脚の上部爪先が細く、外側へ強く湾曲するなどの特徴を持っていました。
以上の特徴は宮古島に生息するミヤコサワガニ(Geothelphusa miyakoensis )にとてもよく似ていて、まさに巨大なミヤコサワガニといった印象でした。
もしかしたら祖先を辿ると両者はどこかで関連があるのかもしれません。
この他滞在中はクメジマミナミサワガニ、ケラマサワガニを撮影できたので、残す沖縄のサワガニは渡嘉敷島の3種となりました。年内はむずかしそうですが、いずれは向かうかと思います。
稀に見られた黄土色型の個体。この色彩パターンだとオキナワオオサワガニとよく似ていますが、体全体に斑紋がある点が違います。
PS:今回本種の撮影に協力頂いた久米島在住のT氏に心より御礼申し上げます。
<OLYMPUS E-3/ZUIKO DIGITAL ED14-54mm F2.8-3.5+ EC-14 Teleconverter/TF-22 Twinflash >