白いオキナワオオサワガニ
2013年 05月 20日
[ 沖縄本島北部 2013年5月 ]
沖縄本島北部某所の湿地。毎年恒例の真夜中のオキナワオオサワガニ観察、撮影中のことでした。相変わらずサワガニへのアプローチが下手で、目ぼしい立派なサイズの個体には全て巣穴の中に逃げられ、意気消沈していました。今日はもう立派な雄の撮影は無理かも知れないなと踵を返し、帰路につこうとすると、前方の斜面に大きなカニの影が見えました。遠目ではありましたが、今まで見てきたオオサワガニの中ではとび抜けて巨大であることには間違いありませんでした。確認のためさらに近づくと、なんと甲羅の色が白みを帯びています。普通オオサワガニの体色のパターンは黄土色、茶色もしくは濃い紫色です。まさか。。。ホントに!?結局、あと1メートルというところで深い巣穴に逃げ込まれ、よく確認できないままそのポイントを後にしました。とりあえずその後は渓流域で別のサワガニの観察をしていましたが、どうしても先ほどの個体が気になり、帰り際に再度その湿地に立ち寄ってみました。やはり時間を置いても用心深いオオサワガニは皆巣穴の奥に引きこもってしまっています。やっぱりダメかとふと足もとを見ると。。。メロンパン大の白い物体が落ち葉の上をのそのそと歩いています。一瞬目を疑いましたが、なんとそれは紛れもないあの白いオオサワガニだったのです。予想どおりの立派な雄個体です。僕は急いでカメラのセッティングをし、レンズを向けました。巣穴からだいぶ距離があるからでしょうか、もう逃げても間に合わないと諦めているのか意外に彼は落ち着いていました。ちょうど良かったので、その隙にノギスで甲幅を計測したらなんと56ミリもありました。これは図鑑に表記されている最大サイズ5センチを有に超えていました。撮影後は何事もなかったように彼は巣穴へ戻っていきました。大袈裟な表現かもしれませんが、その後ろ姿はまさにこの湿地の長老のような神々しい印象を受けました。(もののけ姫でいう乙事主?みたいな)それにしてもこの個体が白い理由は何でしょうか。色素欠乏、あるいは老齢個体だからでしょうか。実は以前ヒメユリサワガニという石灰岩地帯で完全陸上生活を送るサワガニでもこのような色の個体を数匹目撃していたのです。この個体に出くわしたのもそういったヒメユリサワガニが混生するような場所だったので、もしかしたらですが、その生息場所の地質、または水質が影響しているのかもしれません。今回は1個体のみ確認しましたが、同地域から同様の体色を持つ個体が見つかる可能性はあるかもしれません。
ヒメユリサワガニの白い個体 [ 沖縄島北部 2012年8月 ]
<OLYMPUS E-3/ZUIKO DIGITAL ED50mm F2.0 MACRO+EC-14 Teleconverter/TF-22 Twinflash>