謎多き固有種 ミヤコヒキガエル
2013年 04月 29日
[ 沖縄県宮古島市 2013年4月 ]
その島の固有種と聞くと、出会うのには相当粘らねばならないというのがお決まりと思っていたのですが、このミヤコヒキガエルに関しては全くそのようなことはありませんでした。僕が泊まっていた宿の庭にもいましたし、夜に出歩くと、畑、森林、海岸といたるところに夥しい数の個体が徘徊していました。ここまで来るともはや石垣島などにいるオオヒキガエルのような外来種的イメージを持ってしまいます。
それにしてもこのカエルはいっぺんなんの変哲もないヒキガエルなわけですが、ルーツを辿ると実に不思議な生き物で、琉球の島々(奄美~西表まで)でヒキガエル科が在来種として生息しているのは宮古島のみです。(移入されたものが北大東島、南大東島、沖縄島北部の一箇所に生息しています)また生息地である宮古島は島全体がサンゴ起源の島で大陸や他の島々と地続きになったことがないそうなので、渡って来たという可能性もないのです。一説では中国に生息する本種の基亜種チュウカヒキガエルが持ち込まれたのではという移入説があったようですが、有史以前のヒキガエルの化石が島内から見つかっているそうなので、その説は否定されつつあるそうです。
昆虫などのように飛翔することのできないこのカエルがどのようにしてこの宮古島にたどり着いたのか、その経緯を想像してみると本当にミステリアスなカエルです。もしかしたらその真実は想像を絶するものなのかもしれません。
<OLYMPUS E-3/ZUIKO DIGITAL ED14-54mm F2.8-3.5/内蔵ストロボ+ディフューザー>