女神の名を冠した沢蟹 アマミミナミサワガニ
2012年 02月 27日
徳之島 2011年7月
以前の記事でも何度か触れていますが、僕はどういうわけかサワガニというカニに興味があります。サワガニとはカニの仲間では珍しく、一生を淡水で過ごす純淡水産のカニで、南西諸島では先島諸島、沖縄諸島、奄美群島で固有種が10種以上記録されています。しかし本州では1種類だけ生息しているだけです。本州のサワガニは度々子供向けの生き物図鑑でも登場しますが、離島に生息しているものは専門的な図鑑ですら紹介されることもなく、またネット上でも文献が僅かしかありません。なので撮影してみたいと思っても、生息環境に関する情報を探すのには一苦労です。写真は去年の奄美、徳之島の旅で出会ったアマミミナミサワガニ (Amamiku amamensis) です。当時は沖縄島北部で割合よく出会うオキナワミナミサワガニの亜種であろうと思い、それほど真面目に撮影していませんでした。しかし先日このサワガニについて書かれている興味深い文献をネットで見つけてからは後悔の念に駆られました。なんとアマミミナミサワガニはオキナワミナミサワガニとは全くの別種で、属まで違うと書かれているのです。さらに詳しく調べると、前者はAmamiku属にという新たに新設されたグループに属していて、その属名「アマミク」とは沖縄、奄美地方を創造した伝説の女神から名づけられたのだそうです。属名だけ聞くと、壮麗なイメージですが、実際の姿、形は写真で見るとおりかなり地味です。また南西諸島のAmamiku属のサワガニは1種だけではなく、沖縄諸島の渡嘉敷島にもカクレサワガニ(Amamiku occulta Naruse)が生息しているようです。何故奄美群島と渡嘉敷島の間にある沖縄本島にはこの属が生息しないのか不思議に思いますが、アマミミナミサワガニも最初はミナミサワガニ属と同属だと思われていたそうなので、もしかしたら沖縄本島でも近い将来それまでオキナワミナミサワガニの若齢個体かなにかと思われていたのが、違う種として発見されるかもしれません。これ以上書くと疲れると思うので、この辺で(苦笑)
とにかくこの記事を見つけたことでまた新たにサワガニに対する興味が深まったように思います。やはりこのサワガニの世界はあまりスポットライトが当たらない分奥が深いようです。
関連の記事「奄美のサワガニは新属 伝説の女神にちなみ命名」↓
http://mimizun.com/log/2ch/scienceplus/1099879458/
<OLYMPUS E-3/ZUIKO DIGITAL ED50 Macro F2.0+EC-14 Teleconverter/STF-22 Twin Flash/絞り優先AE>