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初めて撮影したハブ

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大宜味村 2010年3月1日

それは去年の3月まで遡ります。その日の晩は大宜味村の石灰岩地帯でカニをさがしていました。
険しい斜面を岩に手を掛けながら登り、あと少しで山の頂上というところで、進行方向左手にあった岩に気配を感じました。ライトを向けると、岩の上にとぐろを巻いたシルエットが浮かび、それが蛇だということが判りました。距離は僅か1メートル弱。そのときは疲労で目がぼやけていて、視界が悪く、普通種のアカマタ(無毒)だろうとその横を素通りしよう思いましたが、ハレーションを弱めるためライトの光を調節すると。。。金色に輝く鱗と水墨画のような模様が浮かび上がり、その姿が露わになるにつれ、恐怖のあまり手が震えました。 なんとそこにいたのは日本一凶暴で強力な猛毒を持つハブ(本ハブ)でした。しかも体長はおよそ1メートル以上はある大人の個体です。いつも林道を横切る姿しか見ていなかったので、こんな間近で見たのは生まれて初めてでした。目は殆ど見えないものの、吻先に備えた獲物の体温を捉える器官(ピット)でこちらを察知し、睨むハブ。もう位置は特定されています。
とにかく攻撃を逃れるため、刺激しないよう一度そっと下がりましたが、次の瞬間。向こうのほうから驚いて逃げて行きました。「なんだ、案外好戦的ではないのか。。」何故かそのとき頭によぎったのは”これなら撮れる”という無謀な考えでした。しかし背後は崖に近い斜面、両側にはうっそうと茂る植物。ヘビと一戦交えるには少し狭い環境です。そして登山道入り口までは500メートル、そこから集落までさらに300メートルくらい。。病院は20キロ離れた名護。最低でも搬送に1時間以上。ましてやその時はトレッキングシューズに素手と無防備そのものだったので、咬まれたら間違えなく命はありません。しかし、ハブの生態写真を撮るには二度とない絶好の条件が揃っていました。そうこう迷っているうちにハブはどんどん暗闇へ姿を消そうとしています。僅か30秒で考えた末の決断は”捕獲して撮影”でした。意外なほどローな速度で逃げるハブ。追いかけますが、ツタに絡まり行く手を阻まれ、一度は見失いました。再び周囲を見渡すと、岩の割れ目に逃げ込む姿を見つけ、入りきっていな尾をつかみ、ハブの力が緩んだ隙を見計らい一揆に引きずり出しました。穴から出したら、ハブはすぐ落ち葉の上でとぐろを巻き威嚇の体制に入ります。実はこの瞬間が一番絵になるので、すかさずレンズを向け、正面、横、斜め上と様々な角度からレンズを向けます。途中ハブの飛びかかりを3度ほど受けましたが、なんとか回避。無事に満足行く写真が撮れました。攻撃態勢を解き茂みへと消えて行くハブ。単に運が良かっただけかもしれませんが、こちらが殺意がないことが通じ、ハブなりに手加減してくれたのかと思います。一息ついた後は周囲を警戒しながら下山。さすがに神経が参ってました。大のヘビ嫌いの僕が始めて自らヘビを素手で触った記念すべき晩でした。
たぶんこの先二度とあんな山奥でこのような撮影はしないことでしょう。

その後奄美、徳之島と各島のズバ抜けて巨大で怪物のようなハブを見てきましたが、奄美大島のものは撮影もできないほど、力強く恐ろしかったです。暴君とはいえやはり沖縄のはその中でも一番大人しかったようです。

いつもより長文で失礼しました(汗)夢中になりすぎました。。(-へ -;)>

初めて撮影したハブ_b0192746_4314966.jpg


初めて撮影したハブ_b0192746_4322977.jpg

物凄くお怒りの様子

<OLYMPUS E-3/ZUIKO DIGITAL 14-54 F2.8/FL-50 Flash/絞り優先AE>
by kumaken0820K | 2011-11-17 04:27 | 爬虫類

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by くま次郎
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