魔性のクワガタ オキナワマルバネクワガタ
2011年 09月 13日
沖縄島北部 2010年9月
9月に入り、沖縄ヤンバルの夜はますます秋が深まってきました。本土ではこれからどんどん冬にかけて虫が少なくなり、物悲しくなってきますが、沖縄では昆虫を追い求める者にとって1年のうちで最も熱いシーズンになります。
オキナワマルバネクワガタ(Neolucanus saundersii okinawanus Sakaino)は9月中旬から10月上旬に姿を現す大型のクワガタムシで、沖縄島北部のごく僅かな地域にしか生息していない大変珍しい種です。また普通のクワガタと違い樹液に集まることはなく、エサも食べずにただひたすら地面を徘徊して繁殖相手を探し、成虫になってからたった十数日という短い一生を終えます。このクワガタを探すには2通りの方法があり、歩き回っている個体が偶然山中の林道にでてくるのを探すか、森の奥地へ入り、このクワガタが羽化して出てくるシイの大木の根元を探す方法があります。
昨年はこのクワガタを探しに計14回夕方から翌朝まで原付でヤンバルの林道を探し回りました。結果は雌4頭を確認して終わり、立派な大アゴを持つ雄には出会えなかったので、今シーズンこそはその姿を撮影してみたいものです。
やはり大きなクワガタだけあって昆虫採集家の間でも格段の人気があり、毎年9月中頃にもなると、県内はもちろんのこと本土から多くの、採集者がヤンバルの森へ訪れるので、普段物静かな林道は”わ”ナンバーの車の大群でかなり騒々しくなります。中には配慮のないドライバーによる乱暴な運転で固有の両性類や他の小動物が事故に遭うので、とても好ましい光景とは言えません。このマルバネクワガタがヤンバルテナガコガネのように天然記念物に指定されない限り、何年もこの状況が続きそうな気がします。
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