サカモトサワガニ 徳之島産
2013年 08月 10日
雄個体
[ 鹿児島県徳之島町 2013年7月 ]
徳之島を最初に目指した目的はこの島に生息するサワガニを撮影するためでした。奄美群島(与論島から奄美大島、喜界島にかけての地域)のサワガニはこの島から生息しており、それより西に浮かぶ島与論島、沖永良部島では情報がありません。
徳之島は湧き水や河川の水量が豊富なためサワガニの個体数も割合多く、夜間渓流を歩いていればかなりの頻度で彼らに遭遇することができました。同島には現在3種類のサワガニが記録されているようで、その中で最大の種が写真のサカモトサワガニ(Geothelphusa sakamotoana )です。本種は沖縄本島から奄美大島、喜界島まで分布しているようで、これは南西諸島産のサワガニ科では最も広範囲に生息していることになります。つまりそれだけ環境の変化に対する適応力と移動能力が高いということなのでしょう。さてこの島の個体群ですが、やはり沖縄島のものとは異なった印象でした。とにかく巨大なのです。写真の個体は甲幅4センチほどですが、これは今まで沖縄の渓流で見てきたサカモトサワガニの最大個体をはるかに上回っていました。しかし、まだ強者がいました。山を周回する林道で見かけた死骸の甲羅はこれより一回り大きく、5センチ近くはありました。ぜひともその怪物サイズの生きた状態のものも撮影したかったのですが、滞在日数的に厳しく断念しました。
また色彩も大きく違い、徳之島個体群のほとんどは薄い燈色に甲羅の前縁部が濃い褐色をしている特長を持っていました。そして気性も断然違い、大型個体でも大概は大人しい沖縄の個体群と比べ、徳之島は押並べて気が荒く、身の危険を感じると鋏脚を振り上げ、突進してきます。同種でも島ごとにこれほどの地域個体差があるというのはとても興味深いものです。
雌個体
<OLYMPUS E-3/ZUIKO DIGITAL ED14-54mm F2.8-3.5+EC-14 Teleconverter/TF-22 Twinflash +FL-36R>