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ついに撮影?リュウキュウサワガニ

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鹿児島県徳之島 2013年7月

今回の撮影旅行における最大の目標、それは奄美群島、トカラ列島に生息するサワガニたちの姿を撮影することです。この地域の総称”北琉球”におけるサワガニの分布、生態はまだ情報が少なく、写真もほとんどありません。僕はその北琉球のサワガニのベールに包まれた生態を自分の目で確かめたかったのです。
その中で特に最重要課題としていたのが リュウキュウサワガニという種の撮影でした。本種は奄美大島、徳之島の特産種で、その生態、形態に関する情報は日本のサワガニ中最も少なく、いつもサワガニ情報検索でお世話になっている某大学の所蔵標本データにも名前しかないのでまさに”謎の存在”でした。唯一本種の標本写真を掲載していたのは海外台湾の甲殻類専門の情報サイトでした。しかし、写真はあくまでも標本で、時間が経過しているせいか、白化していてもとの色合いが分かりません。唯一標本から解った手がかりは、小型でGeothalfusa属(サワガニ科の大半を占めるグループ)にしては珍しく雄個体の片側の鋏が肥大しない傾向があるようでした。また歩脚の先端付近にある微細な棘があるところから見て、少し流れのある水中で岩の下に流されないようにして生活しているのではないかと推測しました。
とりあえず最初に訪れた生息地徳之島では某大学の所蔵標本の採集地データを元におおよその生息地を割り出し、夜間の渓流域を探索しました。採集数のデータを見る限り、それほど見つけるのに苦労するような種ではないように伺えましたが、ここで新たな壁に直面します。採集地にある渓流域では近似種サカモトサワガニが数多く生息していたのです。奄美群島の個体群は沖縄島のオオサワガニに匹敵するほど大型化するので、成体であれば区別はつきますが、とにかく個体数が多いので、おそらくその周辺で見られた小柄なサワガニは本種の若齢個体の可能性が高かったのです。まあGeothalfusa属はよど特異な生態の種でない限りは同じ場所に混生するので、仕方ないのですが、標本の写真を見る限り、サカモト、リュウキュウ両者の甲羅の形状にはそれほど違いが見られないので、現場ではどれがリュウキュウサワガニなのか全くわからないのです。また徳之島、奄美大島に棲むサカモトサワガニはどういうわけか半水中生活をする傾向が強いようで、これもまたリュウキュウサワガニかどうかを見極めるのに支障をきたしていました。仕方なく片っ端から小柄なサワガニの撮影をし、宿に戻ってPCで過去に沖縄本島で撮影したサカモトサワガニの若齢個体の写真と比較してみました。すると、いくつか撮影したうち、リュウキュウサワガニではないかという種の写真がヒットしました。
この個体は渓流で出会った小柄なサワガニのうち最も大きかった雄で、甲幅は2センチ強ありました。これを同サイズのサカモトサワガニの若齢個体と比較したところ、後者は片側の鋏脚が顕著に肥大していたので、写真の個体はリュウキュウサワガニの可能性が高まってきました。現在は全体的にサワガニが少ない傾向にある奄美大島に渡ってしまい、追加で本種の撮影するのが難しい状況になってしまっていますが、他の被写体も追いつつ残りの1週間に賭けようと思います。

※訂正

しがないサワガニ好きさんからご指摘頂き、写真の個体はリュウキュウサワガニではないことが分かりました。
他にこの形に該当するのはサカモトサワガニしかいないので、写真はおそらくその若齢個体でしょう。

<RICOH CX5>
by kumaken0820K | 2013-07-13 23:50 | 甲殻類

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by くま次郎
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