クメジマミナミサワガニ
2013年 06月 06日
[ 沖縄県久米島町 2013年5月 ]
今回の久米島サワガニ撮影の旅で興味深い生態を観察できたと思うのが、このクメジマミナミサワガニでした。本種は同島内に生息するサワガニ3種のうち2番目に大きいサワガニです。ただ最大のクメジマオオサワガニ(甲幅5センチ強)とはだいぶ大きさに差があり、甲幅は最大個体でも3センチ後半代です。そんな小柄な彼らですが、その華奢な姿からは創造もできないほど凶暴で貪欲です。滞在中は本種の捕食シーンに度々出会いましたが、その捕食対象はクメジマオオサワガニの子だったり、有毒であるはずのシブイロヒゲボタルの幼虫でした。こんな獲物が狩れるのは彼らの動きがとても俊敏であることが関係しているのではないかと思います。これは沖縄本島北部生息のオキナワミナミサワガニにも通ずるもので、彼らもまた他のサワガニより格段に動きが早いので、ハナサキガエルのような動きの素早い獲物を捕らえることができるようです。よくサワガニの仲間(主にGeothelphusa属)は大半の雄が片側の鋏脚が肥大する傾向が見られ、大型個体ほど動きが緩慢になる傾向がありますが、このミナミサワガニの仲間(Candidiopotamon 属)に関しては成熟した雄個体でも両側の鋏脚が小さくほぼ均等な大きさなので、もしかしたら片側の鋏脚が大きくならない分、身軽になり、成体になっても素早い動きを可能にしているのかもしれません。
オオサワガニの仔ガニを捕食しているところ。オオサワガニは若い個体ほど動きが早い。
樹上でムカデに捕食されてしまった本種。樹上まで這い上がることのできる彼らにはこういった天敵に襲われる危険もある。
<1枚目:OLYMPUS E-3/ZUIKO DIGITAL ED14-54mm F2.8-3.5/TF-22 Twinflash>
<2・3・4枚目:RICOH CX5>