沖縄本島のサワガニたち
2013年 03月 03日
サカモトサワガニ(Geothelphusa sakamotoana ) 甲幅4センチほどになる大型種ですが、そこまで成長する個体は極稀です。体色は暗緑色と淡い黄色のツートンカラー、レモンイエロー、赤褐色、青白いものなどバリュエーションが豊富です。
水辺よりは湿った崖、渓流沿いの斜面で見かけるので、陸上での生活に適応しているようです。
南西諸島のサワガニでは最も分布が広く、沖縄本島以外では徳之島、奄美大島、喜界島、宝島(トカラ列島)
より記録があるそうです。
オキナワオオサワガニ(Geothelphusa grandiovata)
甲幅5センチ程になる日本最大のサワガニ。
若いカニは上のサカモトサワガニに良く似ていて区別が難しいのですが、オオサワガニは甲羅の背が丸みを帯びて真横から見ると体高があります。また眼(眼柄)とそれを収納する窪みが小さく、やや中央に寄っています。体色は黄土色、灰色、赤褐色のものがいるようです。主な生活場所は渓流沿い、または湧き水周辺の湿地で、地中に深い穴を掘って生活しています。沖縄本島固有種。
ヒメユリサワガニ(Geothlphusa tenuimana )
沖縄本島の固有種。甲幅は大きいものでも2センチ後半で、それほど大きくはないのですが、とにかく脚が異常に長いので、その奇怪な姿に圧倒されます。日本のサワガニでは最も陸上での生活に適応した種類で、乾燥した石灰岩地帯の崖の割れ目や石の下に穴を掘って生活しています。他種が生息するような渓流や湿地で見かけることはほとんどありません。このような生活をしているサワガニは世界でも例が少ないそうです。体色は灰色、紫色、白、赤紫色など。若干オオサワガニにも似ていますが、本種は完全に甲羅が扁平で甲羅の背は丸みを帯びません。
僕が本種の生態で気になるのは安定した水辺のない生息域ででどうやって脱皮しているのかという点で、いつかはそのシーンを撮影できたらと思っています。
アラモトサワガニ(Geothelphusa aramotoi)
甲幅24ミリで、沖縄島生息のサワガニ5種では最も小型です。水中での生活の依存度が高く、陸上で活動している姿はほとんど見かけません。流れの緩やかな渓流域で生活し、底面が川に水没した石の下や砂礫の
間に潜り込むようにして生活しています。このように脚が短く、全体的に丸みを帯びた体型は流れのある水中環境での生活に適応した種に共通して見られるような気がします。
沖縄本島以外では伊平屋島に生息。渡嘉敷島、久米島には本種から独立したケラマサワガニが分布するようです。
オキナワミナミサワガニ(Candidiopotamon okinawense)
甲幅は4センチを越すこともあり、見た目はオキナワオオサワガニとほぼ同じくらいに見えます。おそらく沖縄本島のサワガニでは2番目の大きさになると思います。本種だけはミナミサワガニ科という別のグループに属するようなのですが、サワガニ科と表記している図鑑もあり、分類が定かではないようです。他のサワガニと比べると刺々しく凶悪そうな風貌です。非常に俊敏で気性は荒く、ときにはカエルなどを襲うこともあります。
渓流沿いの崖や滝のある場所の岩壁の隙間を棲家としているようです。沖縄本島固有種