鳥の糞に化ける芋虫 クロモンカギバの幼虫
2012年 01月 14日
国頭村 2012年1月
林道をバイクで走行中、路肩に生えるハゼノキの若木に目が行きました。最初はこの樹の葉やたら鳥の糞まみれだなあと思っていました。しかしよく見るとその糞みたいなものがどれも同じ形をしています。これはもしかして!? 傍によってみるとそれはクロモンカギバという鳥の糞に擬態して身を守る蛾の幼虫でした。この虫の存在を知ったのは写真家 湊和雄さんの著書「昆虫の本」(アクアコーラル企画)で、まさに解説されていたとおり幼虫の体にはまるで未消化で残った燈色の種子を思わせる模様がありました。また艶の光り具合も鳥の糞の質感をリアルに再現しています。もう一つ興味深かったのは危険を感じると体をUの字に曲げ、さらに鳥の糞に近い形態になることです。最初は単に体を曲げただけかと思いましたが、周辺の個体も全く同じポーズを取りました。こうなると遠目には本当に糞にしか見えませんでした。いつも擬態する生き物に出会う度思いますが、毒のあるものや食べられないものに擬態する昆虫はどのような過程を経てその姿に進化できたのか不思議に思います。人間はある程度なりたい体形になろうとしても限界がありますが、彼らはなりたいものに限りなく近い形に姿を変えているので、本当昆虫を始め生き物の知恵や能力って人間の想像の域を越えたものなのなんだなと思います。
体を曲げているところ
幼虫の顔
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